性中耳炎に対しては,マクロライド系抗菌薬投与(クラリスロマイシン:CAM少量長期投与療.
また、アデノイドが大きい子供や慢性副鼻腔炎を繰り返している方、耳抜きがなかなかできない方(とくに老人)にもおきやすい病気です。
【11.1.1】ショック,アナフィラキシー〔呼吸困難,痙攣,発赤等が発現〕【11.1.2】QT延長,心室頻拍(torsade de pointesを含む),心室細動〔QT延長等の心疾患のある患者,低カリウム血症のある患者においては特に注意。[9.1.2参照]〕【11.1.3】劇症肝炎,肝機能障害,黄疸,肝不全〔劇症肝炎,AST,ALT,γ-GTP,LDH,ALPの上昇等を伴う肝機能障害,黄疸,肝不全が発現。[9.3参照]〕【11.1.4】血小板減少,汎血球減少,溶血性貧血,白血球減少,無顆粒球症〔[8.2参照]〕【11.1.5】中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN),皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),多形紅斑〔投与中止。副腎皮質ホルモン剤を投与〕【11.1.6】PIE症候群・間質性肺炎〔発熱,咳嗽,呼吸困難,胸部X線異常,好酸球増多等が発現。このような症状が現れた場合には投与中止。副腎皮質ホルモン剤を投与〕【11.1.7】偽膜性大腸炎,出血性大腸炎〔偽膜性大腸炎,出血性大腸炎等の重篤な大腸炎が発現。腹痛,頻回の下痢が現れた場合には投与中止〕【11.1.8】横紋筋融解症〔筋肉痛,脱力感,CK上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇が発現。横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意〕【11.1.9】痙攣〔痙攣(強直間代性,ミオクロヌス,意識消失発作等)が発現〕【11.1.10】急性腎障害,尿細管間質性腎炎〔乏尿等の症状や血中クレアチニン値上昇等の腎機能低下所見が認められた場合には投与中止〕【11.1.11】IgA血管炎【11.1.12】薬剤性過敏症症候群〔初期症状として発疹,発熱がみられ,さらに肝機能障害,リンパ節腫脹,白血球増加,好酸球増多,異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状が発現。投与中止後も発疹,発熱,肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意〕
鼓膜切開術のメリットとデメリット
・メリット
急性中耳炎の場合
急性中耳炎による痺痛、発熱からの速やかな解放
急性中耳炎の起炎菌の同定および薬剤感受性が可能
耐性菌による急性中耳炎の場合、感染菌量の減少により抗菌薬の効果発現を助ける
局所への抗菌薬の投与が可能
急性中耳炎から浸出性中耳炎への移行率を低下
浸出性中耳炎の場合
難聴からの早急な解放
長期浸出液の貯留による内耳障害を防ぐことができる
・デメリット
麻酔を行っても軽度の痺痛を伴う
早期に鼓膜切開孔が閉鎖した場合、中耳炎が反復し、鼓膜切開術を繰り返さなければならないことがある
鼓膜切開術後、鼓膜に永久穿孔が残る可能性がある
鼓膜切開術のメリットとデメリット
鼓膜切開術は、耳鼻咽喉科の外来治療において最も頻回に行われている手術手技であり、耳鼻咽喉科医の側からするとあまり意識せず通常の診療の一環として行いがちである。しかし、鼓膜切開術は診療行為の内容からは明らかに手術行為であり、施行前には当然患者およびその代理人(多くの場合は両親である)に対し、その診療内容について説明を行い、同意を得てから行わなければならない。その説明の中には当然、鼓膜切開術のメリットおよびデメリットを含めた必要性を説明しなければならないが、実際には施行する側からすると鼓膜切開術のメリットばかりを強調してデメリットを説明せずにあるいは説明不足の説明になりがちである。
近年、様々な要因(耐性菌の増加、幼少時からの集団保育、免疫不全等)により、急性中耳炎の難治化あるいは反復化する症例が急増している。このような症例には、表に示したように鼓膜切開術は非常に有用な治療手段である。しかし、デメリットに示したような要因が生じることがあり、この点については十分な説明を行い、同意を得ておく必要がある。特に鼓膜切開術を行えば、すぐ治癒すると考える両親もいるため、繰り返し鼓膜切開術を行うことに難点を示すこともあり、鼓膜切開術を施行してもすぐ治癒するのではなく。繰り返し施行しなければならない症例もあるということを詳しく説明しておく必要がある。そうしないと、疼痛・発熱・耳漏
等の自覚症状が消失した時点で、患者の方が勝手に治療を中止したり、ドクターショッピングをしたりする場合が生じてくる。
また、滲出性中耳炎においては、中耳腔に貯留している滲出液を排液することにより、難聴から即座に解放されるということが最大のメリットである。しかし、滲出性中耳炎のどの状態、すなわち発症してからどのくらい経過観察を行った場合に鼓膜切開術が必要であるかは、滲出性中耳炎の治療を開始する時点で、十分に説明し、同意を得ておく必要がある。また、滲出性中耳炎の治療は長期にわたることが多く、数回の鼓膜切開術を必要とすることもあるため、治療を始める時点で、鼓膜切開術を含めた治療方針を説明し同意を得ておかないと、急性中耳炎の治療の時と同様、中途半端な治療になる可能性がある。
鼓膜換気チューブ留置術のメリットとデメリット
・メリット
難治性、反復性中耳炎の場合
(急性中耳炎のメリットに加え)
鼓膜切開術の反復の回避
中耳腔からの十分な排膿とそれに続く中耳腔の十分な換気により、約70-80%の症例で難治性中耳炎のコントロールが可能
溶出性中耳炎の場合
鼓膜切開術の反復の回避
耳管機能が悪い小児においても、換気チューブを通しての上鼓室、乳突洞、乳突峰巣の含気化および発育が可能になり、滲出性中耳炎から解放される
滲出性中耳炎に伴う難聴による言語発達および言語習得障害の改善
・デメリット
長期にわたって留置した場合には、抜去後永久鼓膜穿孔が残存することがある
留置後感染を起こした場合、耳漏が長期にわたって生じることがある
水泳を行う場合には、耳栓を必要とする
鼓膜換気チューブ留置術のメリット,デメリット
最近の急性中耳炎の難治化および反復化の増加に伴い、鼓膜切開術を含めた治療を行っても、治癒に導くことの難しい症例が急増している。特に乳幼児を含めた小児においてその傾向が著明である。このような症例に対しては、鼓膜換気チューブ留置術を施行するのが有効な手段であるといわれている。しかし、その場合にも表に示すように、メリットばかりではなく、デメリットも存在する。これらのデメリットのうち、最も問題となるのが、留置チューブを抜去したのちの永久鼓膜穿孔の残存である。この点については、術前の説明を、できれば自分の施設での鼓膜穿孔の残存率を示しながら行うと同時に、最近では接着法による鼓膜形成術で鼓膜の再生が可能であることも説明し、同意を得ておく必要がある。また、留置後感染を起こした場合には、長期にわたり耳漏が出現することがあること、場合によってはいったん留置したチューブを抜去し、感染が落ち着いた時点で再挿入が必要となる可能性もあることを十分に説明し同意を得ておく必要がある。
鼓膜切開術および鼓膜換気チューブ留置術の術中の合併症
・麻酔施行時
全身麻酔時の一般的な合併症
イオントフォレーゼ麻酔時に生じる一過性の内耳障害による眩暈
一過性の顔面神経麻痺
・鼓膜切開術および鼓膜換気チューブ留置術施行時
小児の場合暴れることで外耳道損傷をきたすことがある
頭部の固定が不十分で術中に動いた場合、耳小骨へ障害を与え、耳小骨離断等の障害が生じることがある
中耳の解剖学的異常(高位頚静脈球など)により大量出血等の合併症をきたすことがある
鼓膜換気チューブ留置術の場合、誤ってチューブが中耳腔に落下することがある
鼓膜切開術および鼓膜換気チューブ留置術の術中の合併症
鼓膜切開術は、大部分は外来で局所麻酔下に行われることが多いが、鼓膜換気チューブ留置術は、症例により局所麻酔下では困難であり全身麻酔が必要となる場合がある。局所麻酔および全身麻酔のいずれも麻酔そのものによる合併症がある。局所麻酔の合併症はいずれも一時的なものであり、長くとも数日中に回復することを術前に説明しておく必要がある。特に麻酔液の中耳腔への流入により、一過性の眩暈を生じることがあり、その説明は必ず行っておく必要がある。そうしておかないと場合によっては後で問題となることもある。全身麻酔による合併症については、耳鼻咽喉科医が説明するよりも麻酔科医に説明を依頼した方がよい。
術中の麻酔以外の合併症には、中耳奇形による場合と、手術手技による場合とがある。中耳奇形によるものは、術前の鼓膜の詳細な観察によりその大部分は避けることができるが、術前に解剖学的異常により生じうる合併症の可能性については説明しておく必要がある。また、手術手技による場合の大部分は、頭部の固定が不十分で、術中に頭部が急に動くことにより生じる場合が大部分である。耳小骨に対する障害や鼓膜換気チューブの中耳腔への落下等があり、可能性は低いものの術前の説明の際には同意を得ておく必要がある。また、最近の報告では、鼓膜切開術施行時に外リンパ療を生じたとの報告もあり、まれな例としても説明が必要であると考えられる。
(宇野耳鼻咽喉科 宇野芳史先生)
江沢医院 耳鼻咽喉科(E.N.T clinic) 臨時休診日(Close)
6歳までに90%の子供が1度はかかると言われるよくある病気です。難聴がほとんどない軽症もありますが、中等度難聴になったり、手術が必要になったりすることもあります。
60歳以上の方にも耳管機能障害によって起こる滲出性中耳炎が比較的多く見られます。
子どもの滲出性中耳炎の半分以上が、急性中耳炎が治りきらずに中耳に滲出液が貯まることで起こります。特に2歳までの滲出性中耳炎の多くは急性中耳炎に続いて起こります。
耳管機能障害があると、中耳が陰圧化し、中耳の貯留液が排出されにくくなります。口蓋裂がある場合や鼻すすり癖がある場合には耳管機能障害になりやすく、滲出性中耳炎がおこりやすく、治りにくくなります。
又、耳管の出口である鼻の奥や上咽頭に病変があると、滲出性中耳炎を発症しやすくなり治りにくくなります。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、アデノイド肥大がある場合がこれに相当します。
成人で滲出性中耳炎がある場合、上咽頭癌が原因ということもあるので、注意が必要です。
主な症状は難聴と耳閉塞感です。痛みや発熱がなく、難聴も高度でない為、小児では気づかれずに長期間見過ごされることもあります。
長期に未治療の状態が続くと、難聴による言語発達の遅れが懸念されます。特に5歳以下の子には注意が必要です。また、癒着性中耳炎や真珠腫性中耳炎など重症で手術の必要な中耳炎へ移行することもあります。
鼓膜の所見をしっかり観察するほかにティンパノメトリーで鼓膜の可動性を見ます。5歳以上の子にはオージオグラム(聴力検査)で難聴の程度を調べます。また、長期間治っていない場合にはレントゲンで側頭骨の乳突蜂巣の発育を調べます。乳突蜂巣の発育が悪い場合、滲出性中耳炎の治りが悪くなると言われています。
小児の滲出性中耳炎に、副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎・アデノイド肥大が合併することが多く見られます。副鼻腔炎やアデノイド肥大に対してはファイバースコープやレントゲンを使って診断します。アレルギー性鼻炎に対しては鼻汁検査や血液検査をします。
特に2歳までの滲出性中耳炎の多くは急性中耳炎に続いて起こります。 ..
長引く副鼻腔炎に対してはクラリスロマイシンを半量で1カ月以上服用します。ネブライザー治療も有効です。アレルギー性鼻炎のある場合はアレルギー性鼻炎に対する内服薬や点鼻薬を使います。
アデノイド肥大症のある場合は点鼻ステロイド薬を使ったり、アデノイド切除術をすることもあります。
最初の3カ月で治癒しない場合は、その後も自然に治癒しない可能性が高くなります。このケースではやを考慮することになります。
積極的に鼓膜チューブ留置をすべきケースを挙げると次の2つになります。
長引く副鼻腔炎に対してはクラリスロマイシンを半量で1カ月以上服用します。
長く滲出性中耳炎にかかっていて、乳突蜂巣の発育が不良の場合、6歳を過ぎると治りが悪くなることが予想されます。このような場合、上記の①②以外でも25dB以上の難聴があればチューブ留置を考慮することになります。
しかし,2週間程度で自然治癒するため,クラリス(クラリスロマイシン)などの抗生剤を投与する必要はありません。
多くの疾患には、治療の指針となるガイドラインが作られています。ガイドラインには、過去の研究と実績から、根拠がある治療方法が推奨されています(これを「エビデンスがある治療」と言います)。そして、科学・医学の進歩に応じて、数年おきに改訂されています。ガイドラインと全く同じ治療をする必要はありません。しかし、そこから大きく外れて、何の根拠も無い治療や、医師個人の信念や思い込みによる治療が選択されると、病気が改善しないこともあります。今回は、「小児の急性中耳炎」の治療について、ガイドラインに沿ってご紹介いたします。
クラリスロマイシン錠 英語:clarithromycin ; 販売名 / 薬価
中耳炎とは、中耳腔(鼓膜の奥にある空間)に感染が生じ、炎症が起きている状態を指します。耳痛、耳閉感などの症状を引き起こし、鼓膜が破れると耳だれが出てきます。数日前から鼻水が出る風邪をひいており、機嫌が悪く、耳をしきりに触ったり、耳を痛がる時は中耳炎の可能性が高いです。時には発熱することもあります。成長して抵抗力がつくと罹患しにくくなることが多いですが、慢性化して滲出性中耳炎(中耳に液体がたまった状態)に移行する場合や、慢性中耳炎になることもあり、治しきることが大切です。
鼻副鼻腔炎を合併している場合はマクロライド療法(クラリスロマイシン少量 ..
風邪などが原因で鼻の奥に細菌がたまり、耳と鼻の管(耳管)から中耳へ感染が広がることによりおこります。耳の外側から菌が入っても中耳炎にはなりません。(プールやお風呂の水が入ってもおこりません。)
鼻水が出るたびに、中耳炎になるお子様も多くみられます。子どもがよく中耳炎になるのは、風邪をひきやすいことと、耳管が成人と比べ、太く短く、傾きも水平に近いので、菌が耳に入りやすいからです。
エリスロマイシン(EM14員環マクロライド)に比べて、ニューマクロライドといわれるクラリスロマイシン ..
耳には「音を聞く」「体のバランスをとる」という大切な2つの役割があります。
音は、外耳道、鼓膜、蝸牛、蝸牛神経などを通って脳に伝えられ、私たちは高い音から低い音まで、様々な音や言葉を理解することが出来ているのです。
ここでは、急性中耳炎と滲出性中耳炎の症状について解説します。 急性 ..
当院では急性中耳炎のガイドラインをもとに重症度に応じて科学的に証明された診断と治療を選択し、なるべく早く安全に治すことを第一目標にしています。しかしながら、中耳炎をひきおこす細菌が年々強くなり、抗生剤がなかなか効かなくなってきました。抗生剤が効かない場合、耳鼻咽喉科医しか行えない鼓膜切開を行い、なるべく早く細菌を体から排出させる治療を行っています。
日本薬局方 シロップ用クラリスロマイシン DS10%小児用「サワイ」|JAPIC
抗生剤は第一選択はペニシリン系(アモキシシリン)になります。
重症度は年齢(2歳以下は重症度が高くなります)症状(耳痛 、発熱、機嫌)鼓膜所見(膿のたまり具合、耳だれ)によって判断されます。
抗生剤の投与期間の目安は、重症度にもよりますが、2歳以下では免疫的に未熟なため、反復化、遷延化しやすく、7~10日間の投与が推奨されます。
〈一般感染症:咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、感染性腸炎、
基本的には中耳炎そのものがうつることはないため、とくに決まりはありません。しかし、中耳炎の原因となる菌やウイルスは、咳やくしゃみによって他の子供にうつってしまうことがあります。一般的には、発熱や痛みなどの症状が治まっていれば登園・登校はできますが、無理をして症状が再発したり悪化することもあるので子供の様子を見て判断しましょう。
[PDF] アモキシシリン水和物 小児感染症に対する最大投与量の変更
熱いお風呂に入ると炎症がひどくなり、耳が痛くなることがあるので最初の4~5日はシャワーか、ぬるいお風呂にさっと入る程度にしましょう。ただし、高熱があるときや痛みが強いときは控えましょう。一方、プールの水は塩素消毒されているため、耳や鼻の粘膜を刺激してしまう可能性があり、中耳炎が長引いてしまうので、発熱や痛みが治まってからも、医師の許可があるまではプールに入らないようにしましょう。
クラリスロマイシンとして 1 回 200mg(力価)及びランソプラ
耳の診察では鼓膜の観察が重要ですが、耳垢や耳漏が充満していて、鼓膜が見えないことがあります。これらを除去する必要があるのですが、子どもが暴れてしまうと、除去が困難になります。正しい診断のために、保護者の方にしっかりと抱っこをしてもらい、診察に協力していただくことが必要です。