[PDF] 14. アスピリン喘息患者への解熱鎮痛消炎薬の投与


アスピリンの注射薬は1992年までは使用されていて、発熱などの症状に優れた効果がありました。しかし副作用で死亡した例があったため使用中止となり、現在は発売されていません。
内服薬や外用薬でよく使用されるものに、アスピリン(市販薬バファリンなど)、インドメタシン(インテバンなど)、エテンザミド(市販薬セデス、ノーシン、ナロンエースなど)、ケトプロフェン(モーラスなど)、ジクロフェナック(ボルタレンなど)、ナプロキセン(ナイキサン)、ピロキシカム(フェルデンなど)、フェルビナク(セルタッチなど)、ブルフェン(市販薬ルル、イブ、ベンザブロックなど)、メフェナム酸(ポンタール)、ロキソプロフェン(ロキソニンなど)など多くの薬剤があります。
一般に市販されている大部分の総合感冒薬には、解熱鎮痛薬が使用されており、アスピリン喘息の方は市販されている総合感冒薬や鎮痛薬は使用を避けるべきです。


喘息発作の点滴治療に使用されるステロイド薬のうち、ソルメドロールやソルコーテフなどコハク酸エステル型のステロイドは、アスピリン喘息の患者さんには使用できません。

アスピリン喘息は、思春期以降、20~40歳代(平均30歳代)に発症することが多く、小児ではまれです。一般的に、解熱鎮痛剤を服用してから15~30分後に喘息発作が起こります。
また、アレルギーのはっきりしない患者さんに多くみられ、発作に季節性はなく、一年中みられます。喘息症状が重症、難治性で、死亡例が通常の喘息患者さんよりも多くみられます。70%以上の患者さんが慢性副鼻腔炎(蓄膿症)や鼻茸(鼻のポリープ)を合併しており、早期から臭覚低下を伴っている場合が多いのも特徴です。

セレコキシブ リン喘息患者には使用可能である。 ただし, 重症不安定な患者で

アスピリン喘息(AIA : aspirin induced asthma)とは、アスピリンおよびアスピリンと同様な作用がある解熱鎮痛剤(解熱剤、鎮痛剤、風邪薬、坐薬、湿布など)などによって誘発される喘息のことです。しかし、最近では、アスピリンだけに対する過敏症と混同されやすいため、NSAIDs過敏喘息と呼ぶ方が良いともされています。
成人喘息患者さんの約5~10%にみられ、解熱鎮痛剤だけでなく、食品や薬剤に含まれる色素、防腐剤などによって誘発されることがありますので注意が必要です。

長期管理は通常の気管支喘息と同様で吸入ステロイド薬が基本となります。また、ロイコトリエンの過剰産生があるため、ロイコトリエン受容体拮抗薬も有効です。
また、基本的にはすべての解熱鎮痛薬(酸性)を徹底してさけること、さらに食品・医薬品の添加物を除外することが治療となります。

酸性抗炎症薬は使用できませんが、ソランタール、モービック、セレコックスなどの塩基性抗炎症薬は発作を誘発しませんので使用できます。また、カロナール、コカールなどのアセトアミノフェンも安全だと言われています。かぜ薬ではPL顆粒、ピーエイ配合錠が使用できます。但し、これらの薬でさえ、添付文書の禁忌に「アスピリン喘息」の記載があります。

アスピリン喘息を誘発する物質は薬剤にとどまらず、食品など多種類に及ぶため薬剤だけに注意していても、発作がなかなか治まらないことがあります。重症の場合生命にかかわりますので、毎日の生活で注意が必要です。
また医療機関を受診する際には、アスピリン喘息であることをはっきりと告げることが大切です。


アスピリン喘息は気管支喘息のなかでも、COX-1 阻害作用をもつアスピリンや ..

アスピリン喘息とはどのような喘息なのでしょうか。まず初めに、アスピリン喘息の特徴について解説します。

喘息の事をアスピリン喘息と言います。 古くはアスピリン喘息(aspirin ..

喘息はアレルギー反応が深く関与して起こる病気です。アレルギーを引き起こす物質には、ハウスダストや花粉、タバコの煙などさまざまなものがありますが、薬剤がアレルギーを引き起こすこともあります。薬剤による喘息の中でも、アスピリンや類似の成分が原因で起こる「アスピリン喘息」は特に重症化しやすく注意が必要です。アスピリン喘息の患者さんは、全ての喘息患者さんの約10%に見られ、そのほとんどは成人の方です。

[PDF] 2015年12月 非ステロイド性抗炎症薬による喘息発作(アスピリン喘息)

非ステロイド性抗炎症薬は有用な薬ですが、アスピリン喘息という重症の喘息を引き起こす可能性があることに注意が必要です。

・アスピリン喘息(非ステロイド性消炎・鎮痛剤などにより誘発される喘息発作)

アスピリン喘息の患者さんは、アスピリンだけでなく、あらゆる種類の解熱鎮痛薬で強い喘息発作を起こす危険性があります。全ての解熱鎮痛薬に注意が必要です。アスピリン以外の代表的な非ステロイド性抗炎症薬として、ロキソプロフェン(商品名:ロキソニン)、ジクロフェナク(商品名:ボルタレン)、イブプロフェン(商品名:ブルフェン)などが挙げられます。

アスピリン喘息(NSAIDs 過敏喘息)は、成人喘息患者の 5~10%を占める。成人発症 ..

【11.1.1】ショック,アナフィラキシー〔ショック,アナフィラキシー,呼吸困難,血管浮腫,血管炎,気管支痙攣等の重篤な過敏症の発現が報告〕【11.1.2】消化性潰瘍(0.2%),消化管出血(0.1%未満),消化管穿孔〔吐血,下血(メレナ)等の症状が認められた場合は投与中止〕【11.1.3】心筋梗塞,脳卒中〔心筋梗塞,脳卒中等の重篤で場合によっては致命的な心血管系血栓塞栓性事象が報告。[1.参照]〕【11.1.4】心不全,うっ血性心不全【11.1.5】肝不全,肝炎,肝機能障害(0.1%未満),黄疸〔肝不全,肝炎,AST,ALT,ビリルビン等の上昇,黄疸の発現が報告。[8.5参照]〕【11.1.6】再生不良性貧血,汎血球減少症,無顆粒球症〔再生不良性貧血,汎血球減少症,無顆粒球症,白血球減少症,血小板減少症の発現が報告〕【11.1.7】急性腎障害,間質性腎炎〔急性腎障害,間質性腎炎等の重篤な腎障害の発現が報告。[8.6参照]〕【11.1.8】中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN),皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),多形紅斑,急性汎発性発疹性膿疱症,剥脱性皮膚炎〔中毒性表皮壊死融解症,皮膚粘膜眼症候群,多形紅斑,急性汎発性発疹性膿疱症,剥脱性皮膚炎等の重篤で場合によっては致命的な皮膚症状の発現が報告。発疹,粘膜障害もしくは他の過敏症に関連する徴候が認められた場合は直ちに投与中止。[8.7参照]〕【11.1.9】間質性肺炎〔咳嗽,呼吸困難,発熱,肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には,速やかに胸部X線,胸部CT,血清マーカー等の検査を実施。間質性肺炎が疑われた場合には投与中止。副腎皮質ホルモン剤を投与〕

DIクイズ1:(A)喘息患者のNSAIDs使用可否の見分け方:日経DI

非ステロイド性抗炎症薬に対するアレルギー体質は、基本的に治ることはないとされています。1度でもアスピリン喘息を起こしたことのある方は、解熱鎮痛薬や風邪薬を使用する場合には必ず医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

NSAIDs過敏喘息(アスピリン喘息) | 症状、診断・治療方針まで

次のような方はアスピリン喘息を起こすリスクが高いとされているため、薬を服用する際には注意が必要です。

(喘息増悪+好酸球性副鼻腔炎悪化)と特徴し、成人発症喘息 ..

・成人してから喘息を発症した方
・発作を頻繁に起こしている重症喘息の方
・鼻の中のポリープを合併している喘息の方

者[重症喘息発作を誘発するおそれがある。] [9.1.6参照]

非ステロイド性抗炎症薬を服用後1時間以内に次のような症状が起こった場合、アスピリン喘息を疑います。

解熱鎮痛薬過敏喘息(アスピリン喘息) (medicina 61巻13号)

・強い鼻詰まり、鼻水
・強い喘息発作や咳
・顔面の紅潮、目の充血
・ときに腹痛、下痢、吐き気などの消化器症状

アスピリン喘息は、COX-1阻害作用(シクロオキシナーゼ(COX)は ..

アスピリン喘息はどのように治療するのでしょうか。ここでは急性期と慢性期それぞれの治療法について解説します。

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アスピリン喘息は急速に症状が悪化するため、迅速な対応が必要です。発作症状が出ている急性期には、次のような対応をします。重症の発作の場合は速やかに救命救急施設へ搬送することが必要です。

アスピリン喘息 (非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)

アスピリン喘息は、シクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)阻害作用をもつ薬物によって生じる非アレルギー性の疾患である。その本態は、COX-1阻害作用によって、アラキドン酸からロイコトリエン類が過剰に産生され、このシスティニルロイコトリエンがメディエーターとして気管支平滑筋を収縮させることである。したがって、その名のとおりアスピリンはもちろんのこと、COX-1阻害作用のある酸性非ステロイド性抗炎症薬(酸性NSAIDs)の投与でも生じることから、誤解を招きやすいアスピリン喘息という名称は、NSAIDs-exacerbated respiratory disease(N-ERD)に置き換わりつつある。
このようなN-ERDの既往をもつ患者に対する消炎鎮痛薬は、慎重に選択する必要がある。塩基性NSAIDsであるチアラミド塩酸塩(ソランタール®)やセレコキシブ、アセトアミノフェンなどはCOX-1阻害作用が弱い、もしくはほとんどないため候補薬となるが、いずれもその添付文書には禁忌として「アスピリン喘息(非ステロイド性消炎・鎮痛剤等による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者(重症喘息発作を誘発するおそれがある)」が挙げられている。それでは、歯科処置後の疼痛には、どのように対応すべきなのだろうか?
厚生労働省が取りまとめている重篤副作用疾患別対応マニュアル(令和4年2月改訂)にある非ステロイド性抗炎症薬による喘息発作(アスピリン喘息、解熱鎮痛薬喘息、アスピリン不耐喘息、NSAIDs過敏喘息)の章では、アセトアミノフェンとセレコキシブの投与について実際的な対応策が挙げられている。
アセトアミノフェンは従来では安全とされてきたが、米国におけるN-ERD患者への負荷試験で、1,000~1,500㎎/回で34%に呼吸機能が低下したとする報告がある1)。現在、欧米では500㎎/回が推奨されており、日本人には300㎎/回とすべきとされている。
セレコキシブはCOX-2選択的阻害薬であるため、倍量投与でもN-ERDで喘息発作が起きないことが確認されている2)。また、タスクフォースメンバーからも安全であると提言されている2,3)。なお、重症不安定な患者において喘息を誘発したとする報告もある。 以上のことから、処方に関しては主治医の責任となることを前提に、投与前の十分な説明は当然のこととして、内服させてから2時間程度は観察期間を設けるなど慎重を期す必要がある。また、喘息発作時には、たとえば次のような対応が求められ、重症化に備えて専門の医療機関に搬送する準備も必要である4)
1.酸素投与(2L/min以上)
2.患者が携行している頓用薬(β2刺激薬)の使用
3.アドレナリン(0.2㎎×複数回)筋注または皮下注
4. リン酸エステル型ステロイドとアミノフィリンの点滴静注(例:デキサメタゾン〔デカドロン®注射液〕
1.65㎎×複数回+アミノフィリン〔アミノフィリン静注〕250㎎×複数回)
5.皮膚症状があれば、抗ロイコトリエン薬・プロスタグランジンE1製剤などを考慮